仕事だけの話に限りませんが、問題を解決するには、物事を論理的に考えることが必要です。
人は誰でも、問題に直面すると考えようとします。しかし、ただ考えているだけで、実際は論理的には考えられていないことが多いようです。
そうならないために、論理的思考の例としてよくあげられるのが、「空・雨・傘」です。
空・雨・傘を考える
論理的思考で考えるためには、事実を捉え、それを解釈し、行動を決定するということが必要です。「空・雨・傘」で考えると……
「空」→空を見ると曇っている(事実)
「雨」→雨が降りそうだ(解釈)
「傘」→傘を持って行こう(行動)
問題に対して、事実と解釈と行動がマッチしていれば、問題は解決しますが、どれか一つでも間違っていると、正しく解決することができなくなります。
人によって捉え方が違う
本来、事実や解釈、行動が変わらなければ、得られる結果は変わりませんが、人によっては事実の認識が変わったり、解釈や行動も変わります。この違いによって、得られる結果が変わってしまいます。
例えば、曇りに対する認識ですが、空を見上げて青空が全く見えなければ曇っていると捉える人もいれば、雲が多ければ青空が見えていたとしても、曇っていると認識する人もいます。同じ曇り空を見て、雨が降ると考える人もいれば、雨は降らないと考える人もいます。
さらに、雨に対する対応も様々です。傘にするか、カッパにするか。長靴を履くか、普通の靴のままか。普通の傘か、折りたたみ傘かなど。いろいろな選択肢から対応を選ぶ必要があります。
そうした様々な状況に対して正しい認識をするには、多くの経験と、判断力が必要になってくるのです。
事実と解釈を細分化する
人によって捉え方が違うわけですから、単純に、事実・解釈・行動の3つだけで考えてしまうと、間違ってしまうことがあります。
では、なぜ人によって捉え方が違うのでしょうか?それは、事実や解釈を細分化すると、選択肢が沢山あるからです。
空を見て、傘を持って行こうと考える人は、過去の経験からこの空模様は雨が降る確率が高いと判断したのかもしれません。または、経験ではなく天気予報で確認したのかもしれません。
その判断材料に、しっかりとした根拠があれば、その後にする行動が間違うことが少なくなりますが、根拠が薄ければ、誤った行動をとってしまうことになります。
空を見て、単純に雨が降っていないから傘を持たないのであれば、帰りに突然降り出した雨に濡れてしまうことになります。雨が降っていなくても、曇り空に気づき、経験から傘を持って行けば、濡れる確率は減りますし、天気予報で確認をとれば、さらに確実になります。
なぜ、その解釈をしたのか?その解釈に根拠はあるのか?という考え方を繰り返すことにより、問題はスムーズに解決できるようになります。
空・雨・傘を逆から考える
空・雨・傘が論理的に正しいかどうかを確認するには、逆から考えてみて、傘→雨→空が論理的に繋がっているかを考えてみるといいでしょう。
なぜそういう行動を選んだのか、なぜそういう解釈をしたのかと、なぜを繰り返すと、根拠があるのかを見極めることができます。最初は、なぜを繰り返すことができず、戸惑うかもしれませんが、トレーニングを積むことによって、なぜの回数を増やすことができます。
例えば、なぜ傘を持っていくのか?→雨が降りそうだから。なぜ雨が降りそうなのか?→空が曇っているから。一見、論理的に組み立てられているように見えますが、矢印の部分でまだ細分化できそうなことがわかります。
細分化すると論理のほころびが見えてくる
- なぜ傘を持っていくのか?→雨に濡れたくないから。
- なぜ雨に濡れると思ったのか?→夕方から雨が降ると思うから。
- なぜ雨が降ると思ったのか?→天気予報を見たから。
- なぜ天気予報を見たのか?→過去に同じような空模様で、雨に降られて濡れたことがあるから。
といった具合に細分化すると、その論理は合っているのか?ということを確認することができます。
また、なぜ傘じゃなきゃいけないのか?カッパじゃダメなのか?傘は折りたたみ傘の方がいいのではないか?と、論理的に考えることによって、行動を見直すこともできるようになります。
これは、未来の行動の指針となるだけでなく、過去の行動の振り返りにも役立ちます。あの時失敗したのはどの解釈が間違っていたのか?といった原因分析に用いると、根本的な対策に役立つことができます。
まとめ
説得力ある言葉や行動は、論理的な説明ができるという共通点があります。逆に、話が伝わらなかったり、信用されないというのは、事実・解釈・行動のどれかが抜けていたり、間違っていたりするからということが考えられます。
心当たりがある方は、空・雨・傘に照らし合わせて、考えてみるといいかもしれません。
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