【書評】お金持ちになりたければ知っておきたい「投資家がお金よりも大切にしていること」

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投資家が「お金」よりも大切にしていること

今年になって、投資を始めてみたのですが、先日本屋でなかなかセンセーショナルなタイトルの本を見つけました。

投資家が「お金」よりも大切にしていること (星海社新書)

帯には、糸井重里氏や堀江貴文氏によるコメントがあり、思わず手に取ってしまいました。

本書は、「ひふみ投信」を運用しているレオス・キャピタルワークスを創業した藤野英人氏が、投資家として20年以上かけて考えてきた「お金の本質とは何か」の結論を一冊に凝縮したものです。

さて、では人生でいちばん大切なカネの話をしましょう。

 

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日本人はお金が大好きで、ハゲタカで、不真面目

いきなりショッキングな内容ですが、本書では私たち日本人が認めたくない事実を指摘していました。

その中で、日本人は、お金に対して良いイメージは持っていない割に、じつはお金が好きで好きでたまらないことを「日米英独仏における個人金融資産の比較表」を用いて説明しています。

この統計からわかることは、ずばり、日本人はお金が大好きだということです。現金と預金が大好きと言ったほうがより正確かもしれません。
お金が好きといっても、お金を使うのが好きというわけではありません。何かを消費するわけでも、株式などに投資するわけでもなく、現金や預金として、お金を懐に貯め込むのが好きなのですから、「お金そのもの」が大好きなのです。

さらに著者は、「日米英における年間寄付額の比較」を用いて、日本人は世界一ケチな民族だといっています。

あえて断言しますが、日本人ほどケチな民族はいません。困っている人のために寄付もしないし、社会にお金を回すために投資もしない。じゃあ、他の先進国の人に比べて、公共のためのお金である税金を多く払っているのかといえば、そんなこともない。日本の税率はむしろ低いくらいです。
じゃあ、いったい何をしているのか?
日本人は自分のこと、すなわち、自分のことしか考えていないのです。自分のお金を現金や預金として守ることしか考えていないのです。

あまりにもインパクトがありすぎる内容ですが、この文章を読んで、頭をガツンと殴られたような感じがしました。

ほとんどの人にとってお金は、自分の時間を犠牲にして、やりたくもない仕事によって手に入れた大切なものです。そんな大切なお金を、リスクを取ることもせず、自分のメリットにもならない他人のためにも使わないのは、とにかく1円でも減らしたくない、もうこれ以上損したくないという気持ちの表れなのではないでしょうか。

投資もせず、他人のためにも使わず、自分でお金を貯め込んでいるのは何故でしょうか?本書にも書かれていましたが、それは、人を信じておらず、お金だけを信じているからです。

会社や国、政治に何も期待していないので、老後や突然の失業など、何かあったときのためにお金を現金や預金として貯め込んでいるというわけです。

 

誰がブラック企業を生み出すのか?

日本は今、構造的なデフレに苦しんでいます。このデフレ社会の中で、年収300万円以下の層が増え続けています。すると、そうした収入層が満足するために、企業は「より安く!」という方針のもと低価格で良質な商品やサービスを提供するようになります。

するとどうなるでしょう。商品やサービスの価格破壊が起き、それに対応できる会社だけが成功していきます。なぜなら、消費者がそれを望んでいるからです。

企業としては、生き残るために厳しい経営努力を強いられます。原価や人件費をギリギリまで削らなくてはなりません。その結果、国内よりも海外での生産にシフトしていきますし、国内では長時間労働、賃金引き下げ、従業員数削減を余儀なくされます。

つまり、中国産の賞味期限切れ食品の混入や、従業員への過重労働を求めているのは、むしろ私たち消費者なのかもしれません。

「より良くて、より安い商品やサービスを提供する」これは商売の基本といえるでしょう。しかし、それが行き過ぎてしまい、過当な価格競争やサービス合戦を行うのは、商品やサービスの提供者だけでなく、受け手の意識や行動にも大きな原因があります。

海外においては、サービスを提供する側と、お金を支払う行為が明確です。働く人は、受け取るお金以上の仕事はしません。逆に、サービスをする人に対しては、必ずチップという対価を払う文化があります。

それに対して、日本にはチップという文化がありません。集団行動をうまく行うために、人への気遣いをする優しい心をもっているのが日本人の特徴です。お互いに気を配り、相手が喜ぶことを率先して行うので、そこにチップはいちいち発生しません。それは、私たち日本人が、世界に誇れる文化だと思います。

しかしながら、コンビニでお釣りを返すときには両手を添えたり、バスやタクシーを見送るときには、誰も見ていなくても車が見えなくなるまでお辞儀をするといった日本ではどこでも見られるサービスを提供する側の優しさが、消費者を図に乗らせ、いわゆる「ブラック消費者」を生み出してしまったのかもしれません。

客だから文句を言うのは当たり前、要求したことに企業が応えるのが当たり前という考えを持った「ブラック消費者」が、過剰なサービスを低価格で要求するため、企業の利益は少なくなり、そこで働く従業員たちの収入がさらに低くなったり、長時間労働を生み出すことになっています。

結果として、「ブラック企業」を生み出しているのは、過剰な安さと過剰なサービスを要求する、私たち「ブラック消費者」なのかもしれません。

 

経済は互恵(ごけい)関係

これらのことから見えてくるのは、「誰かの消費活動が、誰かの生産活動に繋がっている」ということです。私たちが消費したお金が、誰かの給料になっているし、逆に私たちが得ているお金は、誰かが消費活動によって支払ったお金から貰えているわけです。

こうした、全てが繋がっている状態のことを、経済用語では「互恵関係」というのだそうです。

まわりとの関係で私たちは生かされているのだと認識することが、経済を理解するうえでもっとも重要なことです。べつに、経済学のむずかしい理論なんかを覚える必要はありません。

みんなが繋がっているということは、自分だけが幸せであってはダメだということです。自分も他人も、みんな幸せになって初めて経済が上向くようになります。そのためには、「ブラック消費者」という立場を脱ぎ捨てなければなりません。では、どうしたら「ブラック消費者」から抜け出すことが出来るのでしょうか?

一つは、日本人の原点に戻り、お互いが気配りをできるようになればいいんです。サービスをする店員さんだけでなく、サービスを受ける消費者も店員さんに気配りができるようになると、世の中が変わります。

日本にはチップという文化がありませんが、そんなものがなくても相手に感謝を伝えることができます。それが「ありがとう」という言葉です。消費者ひとりひとりが、受けたサービスに対して感謝の気持ちを持つことができれば、過剰なサービスも要求しなくなりますし、無理な値下げも要求しなくなるでしょう。それによって、働く人の環境が改善し、収入が安定しだすようになるかもしれません。

 

まとめ

本書の中には、今回引用した内容以外にも、これまで読んだお金に関する本には書いていないような内容がたくさん書いてありました。

その中には、投資に関することも書いてあり、その内容が今までの投資に対するイメージを180°変えてくれるものでした。

投資とは、今この瞬間にエネルギーを投入して、未来からのお返しをいただくことだ

この本を読んだ後、あまりにも感銘を受けてしまい、思わず「ひふみ投信」での積立投資を始めてしまいました 笑。

お金との向き合い方を学び、「働き方」や「生き方」を真剣に考えるように「お金のこと」も学びたいと思っている人必読の本です。

投資をしている人、していない人、していないけれどこれからしようと思っている人。全ての人にお勧めしたい良書でした。
それではまた、see you!

 

 

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