仕事、勉強、人生。今まで私たちは、さまざまな場面で目標を設定するように教わってきました。
しかし、目標というと、どうしても達成しなければならないノルマのようなイメージを持ってしまい、できることなら目標に縛られず自由でいたいと思う人も多いのではないでしょうか。
かくいう私も、若い頃は、会社で毎期ごとに設定しなければならない目標設定に違和感を持ち、何となく当たり障りのない目標を設定してやり過ごしてきました。
ところが、目標の意味や使い方が分かると、今まで持っていた目標に対する間違ったイメージが払拭されるようになったんです。
ザ・コーチ ~最高の自分に出会える「目標の達人ノート」~
確かに目標を掲げる人は多いです。しかし、本当の意味で目標を活かしきっている人は、少ないと思います。
私たちは、小さい頃から目標を設定することが大切だと聞かされていましたが、そもそも、目標とは何かについての学習をしたことがありますか?
学校では、目標について何も教えてくれません。それでいて、大事だといわれているのですから、誰もが混乱するのは当然です。
「目標」の意味って何だと思いますか?
パッと思いつくのが、「達成すべきノルマ」とか、「成長するためにやるべきこと」といったところでしょうか。
では、目標の先にあるものってイメージできますか?
せっかく頑張って目標を達成しても、次にまた新たな目標が設定されて、永遠と頑張らなければいけない先の見えない道を歩いている気がしませんか?
おそらく、そういった未知の状態に対する恐れが、目標を持つことに対して、マイナスなイメージを持ってしまうのだと思います。
しかし、本来、目標というのは、これからの人生に対する道標になるべきものなんです。
目標とは目的を実現するために設定するもの
目標とは、〈目的を達成するために設けた目当て〉とありました。つまり、目標はあくまで、目的に向けての目印でしかないということです。
それに対して、目的の意味は、〈成し遂げようと目指す事柄〉でした。
(中略)
つまり、目標は、目的の実現のために設定されるものということです。
目標は、目的を達成するための道標となるものです。しかし、いつの間にか目的が設定されないまま目標を持たされ、結果的に目標が目的となってしまうことが多々あります。
なぜなら、目標を設定することは教わりますが、目的を設定することを教わることが、ほとんどないからです。
本書の中では、夢、目的、ゴール、目標の違いについて説明されています。
目的…成し遂げようと目指す事柄
ゴール…目的のための最終的な目印
目標…ゴールまでの途中の目安や通過点
目的を達成するためのゴールは一つではありません。富士登山で例えると、頂上に登るという目的に対して、登山口は複数あり、それぞれにゴールがあります。
そして、それぞれの登山ルートには、途中途中に目標となる何合目という看板や山小屋があります。
頂上という目的があるから、途中の山小屋に着いても迷うことなく先に進めることができますが、目的もなく登っていると、「まだ登るの?」と思うことでしょう。
目標を設定するときは目的とセットにする
公の場で目標について話をする時は、必ず何のために、という目的を強調するようにしました。
すると、面白いことにみんながだんだんと目的を意識するようになり、それにつれて、自然と仕事へのやる気も高まっていったんです。
途中の道標だけを目指せ!と言ったとしても、納得感を持って行動することができません。
その道標を目指す「理由」が分からないからです。
しかし、目指すべきゴールを示し、なぜそのゴールを目指すのかを説明すると、目標に意義が加わり、目標を目指す理由ができます。
納得感を持ってゴールを目指せば、最初に設定した目標よりも別の目標の方が良いかもしれないと、軌道修正することもできます。
すると、やらされ感のあった目標が、自分事に変わり、意味のある目標に変わっていくことになります。
また、人の行動は感情に左右されます。
昔の人は、物質的な欲求が満たされていなかったので、物質的欲求をゴールに設定したとしても、ガムシャラに行動することができました。
しかし、今は、物質的な欲求はほとんど満たされ、物質的欲求では動かなくなり、感情的欲求を求めるようになりました。
参考【書評・要約】モチベーション革命|あなたのモチベーションの正体にせまる!
そのため、目的と目標をセットにするのと同時に、自分のモチベーションの源になる感情をセットにして設定しておくことも大切です。
そうすることによって、モチベーションを絶やさずに目的と目標に向かって進んでいくことができます。
まとめ
仕事での問題解決の場面でも、目標と目的がゴチャゴチャになってしまっているのをよく見ます。
その際の原因は、大抵、目的を見失っているからです。
問題解決の場面では、問題があって、それを解決しようと原因を探り、目標を立てます。
すると、目標を達成することばかりに目がいってしまい、目標を達成したにもかかわらず、当初の問題が何も解決していないということがあります。
その理由が、問題を解決するという目的だったはずが、目標を達成するという目的に変わってしまったから。
人生においても、幸せになるはずに設定した「有名大学に入る」「大企業で働く」という目標が、いつのまにか目的にすり変わってしまい、有名大学や大企業に入れたのに幸せにならないという本末転倒な結果になることもあります。
そう言った意味では、本書にも書いてありましたが、言葉の定義はものすごく大事なんだなぁと感じました。
また、本書は、目標と目的を正しく理解して人生をもっと豊かにすることがテーマだと思いますが、私的にはもう一つ人を育てるための導き方を教えてくれる指南書のような側面もあるなぁと感じました。
というのも、本書の後半では、主人公が教わった内容をもとに、会社で部下に指導するようになるのですが、どんな業種であれ、この目的、目標、ゴール、ビジョンの設定についての説明は、教わる方としてはとても腹落ちする内容ですし、こんな指導をしてくれる上司や先輩がいたら、一生ついていくかもしれないと思ったからです。
なお、今回は泣く泣く割愛しましたが、本書には他にも、目的、目標設定の障害や、部下にゴールを設定するときのポイントなども書かれていますので、気になる方は、ぜひ手に取って読んでみてください。
というわけで、目標の達人になって幸せな人生を手に入れるためには必読の良書でした!
さて、それでもまだ、あなたは目標設定もせず、これからの人生を惰性で生きていきますか?
それとも、目指すべきゴールと目標を設定して幸せな人生を目指しますか?
それではまた、see you!
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