【書評】「せめて25歳で知りたかった投資の授業」は投資初心者必読の入門書だった

お金
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私が好きなマンガに、「インベスターZ」という投資マンガがあります。

その、「インベスターZ」とお金の教養が身につく総合マネースクールの「ファイナンシャルアカデミー」の最強タッグによって、投資の基礎と投資家の思考が学べるとあれば、読まずにはいられません。

本書は、20代、30代に向けた投資の入門書ということで、まだまだ投資家2年生にも満たない私向きだと思い、読んでみました。

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自分が何をやっているのか、よくわからないときに起こるのがリスク

リスクを排除するための最も基本的な考え方は、「よくわからないものには投資しない」ということです。企業の株を買うなら、投資先の企業がどんなビジネスをやっていて、いま現在の経営状況はどうなのか…。これを知らずに買うようなことはしないようにしましょう。

投資というと、なんだかよく分からないとか、難しいという印象がありますよね。そして、よくわからないからこそ、損するかもしれないという「リスク」があるものだという印象があります。

確かに、投資にはリスクがつきものです。しかし、しっかりと投資の仕組みを理解し、ギャンブル的な「投機」をしなければ、リスクを小さくすることができるのです。

例えば、投資をしている人で知らない人はいないくらい有名な世界的投資家で、ウォーレン・バフェットという人がいます。彼は、リスクについて次のように言っていました。

「リスクとは、自分が何をやっているのか、よくわからないときに起こるものです。」

スポーツの世界には、さまざまなルールや技術を知らなければ、相手に勝つことはできません。同じように、お金を稼ぐ・使う・貯める・増やすにも、ルールや技術があります。そして、それらを知らなければ、当然お金持ちになることはできません。

投資をするためには、投資のルールや技術が必要です。そして、それらを身につけることができれば、投資のリスクを少なくすることができるのです。

 

損切り5%、利食い10%というルールを守る

「インベスターZ」でも、孝史が投資部主将の圭介からキツく言われたのは、「5%下がったら売れ。法則を自分の上位に置き、感情をなくせ」というルールでした。このルールに則れば、株価が5%下がった時点で、売りを実行しなければなりません。株価が下落しているときに株式を売却することを「損切り」と言います。

投資をするうえで、一番難しいのが買い時売り時です。投資で儲かる方法は、「株価が安いときに買って、高いときに売る」という単純なものなのですが、これが本当に難しい。個別銘柄を買ったとたんに株価が下がることもありますし、株価が高くなると、「もっと上がるかもしれない!」と思ってしまっては売れなくなります。

人間には感情があるので、どうしても自分の判断に迷いが生じてしまいます。それどころか、株価が下がって損を出してしまうと、「もったいない」「悔しい」あるいは、「信じて買った株が下がったのを認めたくない」という感情から「損切り」という決断ができなくなってしまいます。

ところで、なぜ本書では損切りは5%で利食いは10%を推奨しているのでしょうか?その答えもまた本書に書かれていました。

仮にあなたが10万円分の株を持っていたとして、その株の売り買いを10回繰り返したとしましょう。
5%で損切り実行なら、「5%×5回で損失は25%」。10%で利食いなら、「10%×5回で利益は50%」になり、実に25%もの違いが出てきます。
投資の世界で「損小利大」と呼ばれる鉄則で、これを積み重ねていくことが大切です。

同じ金額で取引をした場合、損切り5%で利食い10%であれば、2回負けても1回勝てば成果はトントンです。損切り10%で、利食い20%でも同じことが言えますが、利食い20%のお宝銘柄に出会うのは、初心者にとっては非常に難しいでしょう。

また、短期間に20%も上昇する株に出会うのも難しく、利食いするのに時間がかかりすぎてしまいます。つまり、それだけ別の株に投資するチャンスを逃してしまうというわけです。

数多く取引をすれば、それが経験になります。例え負けたとしても、1回の損が少なくなりますし、それが将来の利益に対する必要経費だと思えば、決して無駄にはならないのです。

 

未来の「インフラ」に投資をする

たとえばロボット。あるいは人の知的活動を代替するAI。宇宙への進出は、今後長い時間をかけてイノベーションが起きる分野でしょう。すでに世界各国で活発な投資が行われています。
なかでも日本は、ロボット技術の分野で世界のトップ集団に食らいついています。

今、人間が行っている仕事も、将来的にはロボットが代わりに働く時代が来ると言われています。かつて駅には切符を売る人、切符を切る人がいました。しかし、今ではそれらはすべて機械が行うようになり、人の手がかからなくなっています。

今後、AIが活躍できる分野が増え、ロボット産業が発展すると、私たち人間の働く場所がなくなってしまう恐れがあります。ただ、そういったピンチでも、捉え方によってはチャンスになることもあります。

かつて、有名な投資家が莫大な資産を築き上げたのは、「インフラ」に投資をしていたからです。そしていま、新たな「インフラ」が生まれようとしています。私たち人間の働く場所がなくなったとしても、お金に働いてもらえれば、何の心配もいらなくなります。投資の芽は、いつの時代にも転がっているものなのです。

 

誰も見ていないものを見る

みんなが「いい」と言っているものを買うことはカンタンです。それを「金を堀に行くのでは、儲からない」にしないためには、自分の中で「いい/悪い(面白い/つまらない)」の判断基準を持っておかなければなりません。

アメリカの西部開拓時代、金が発見され、国中が大騒ぎになりました。掘ればお金が出てくるわけですから、誰もが熱狂するのも無理はありません。いわいる「ゴールドラッシュ」です。

しかし、金を堀りに行った人で儲けた人はいません。金を見つけることは簡単ではなく、仮に金が出ても、鉱山の持ち主に取り分を持っていかれてしまいます。誰もが気づいた時には、すでに遅いというわけです。

ただし、同じ時期に多くの金を稼いだ人もいます。それは、金を堀りに行く人に「スコップ」を売りつけた人や、「作業着」を売りつけた人です。つまり、人とは違う目線を持っていた人たちということです。

投資の世界では、そのようなことが良くあります。例えば、大ヒットした「ポケモンGO」では、開発したナイアンティクス社は海外の会社でしたが、関連銘柄の任天堂の株価が爆上げしました。しかし、爆上げした時に株を買った人は、たいして儲けることができませんでした。

しかし、「ポケモンGO」で外出する人が増えると考えた人は、携帯充電器のメーカーやスニーカーのメーカーなどの関連銘柄を買い、利益を上げました。

このような見る目を鍛えるのは、普段の生活でもアンテナを張って感度を高めておく必要があります。次は何が流行るだろうか?次は何が評価されるか?といった感性を持ち、センスを磨いていくことが投資で儲けるには必要なのです。

 

消費者は機能性やブランドの名前ではなく「体験」を選ぶ

モノや情報が氾濫する時代。もはや消費者は、機能性やブランドの名前だけでは勾配に動きません。なんで選ぶかといえば「体験」です。ポケモンGOならゲームの世界が現実と融合する新鮮さ、VRならゲーム世界への圧倒的没入感。2016年はバルミューダという、ずっと扇風機を作っていたメーカーがトースターを発売して大人気になりました。既存のトースターにはないスチーム機能を搭載することで、風味を損なわない焼き加減を実現したのです。コンビニの食パンでも、ホテルの焼きたてパンのような風味で食べられる体験を提供しました。

モノがあふれている今の時代、新たな機能をたくさん追加した家電が全然売れなくなりました。売れなくなった家電メーカーは、小売店が競い合う安売り合戦に巻き込まれ、大きな赤字をつくり、経営が傾いてきています。しかし、そんな状況のなかでも、売れている家電はあります。それが、価値を売っている家電です。

本書の中にも出てきましたが、バルミューダのトースターにはたくさんの機能はついていません。コンビニのパンでも、驚くほど美味しく絶妙な焼き加減を実現してくれるだけです。しかし、その焼き加減が、消費者に「ホテルのパンのような焼き加減」を体験させてくれるわけです。

例えば、iPhoneを作っているAppleが提供しているのは、スマホやタブレットやPCではありません。Appleが提供しているのは、Appleの商品を持っていることによる優越感です。スターバックスコーヒーと一緒に、「スタバでMacBook使っている俺、イケてる!」という体験を提供してくれているわけです。

なので、投資をする企業を選ぶ時にも、「この企業はどんな体験をさせてくれる企業だ?」という目線で見てみることが大切です。そのためには、いろいろなことを体験し、実際に使ってみて、肌で感じる力を養うことが必要です。

 

まとめ

内容的には、20代、30代向けということもあり、非常に簡単に読みやすく書かれていました。また、人気の「インベスターZ」のエピソードを多数引用されており、インベスターZファンもエピソードを振り返りながら投資について学べるような構成になっています。

ちなみに、本書の著者ですが、三田紀房先生の名前がありますが、実際には、ファイナンシャルアカデミーで教鞭を取っている渋谷豊さんが書かれています。本書の構成が、「インベスターZ」のエピソードありきなので、三田先生の名前があるというわけです。

内容的には、これまで私が読み漁ってきた投資本に書かれているようなことばかりだったのですが、投資においては、誰もが知っているような当たり前のことを、当たり前にやり続けることが何よりも大切なのだとか。うーん、たしかに、それができないからこそ投資で上手く儲けることができないんですよね。

本書の中で何度も出てくる投資家で、ウォーレン・バフェットが成功しているのも、毎日同じことを当たり前にやり続けてきたのだそうです。そうやって、周りに流されず本当の「価値を見抜く力」を磨くことがなによりも大切なのかもしれません。

これから投資を始めようとしている方、自分の中の投資のルールがブレてしまう方必見の1冊です。

それではまた、see you!

参考【書評】お金持ちになりたければ知っておきたい「投資家がお金よりも大切にしていること」

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