小学生の登校班から、クラブ活動、職場での仕事などなど、誰しもが一度は必ず何らかのチームに関わっていますよね。
にもかかわらず、学校でも会社でも、なかなかチーム作りを体系的に学ぶことがないのは、チームづくりに必要なのは、偉大なリーダーだからと考えられているからなのではないでしょうか?
でも、ちょっと待ってください。
偉大なリーダーなんて、そんなに簡単に存在するものではありません。
ではどうすればいいのでしょうか?
安心してください。チームづくりに必要なのは、偉大なリーダーではなく、たった5つの法則なのだそうです。
THE TEAM 5つの法則 (NewsPicks Book)
麻野耕司著「THE TEAM ~5つの法則~」
チームをチームたらしめる必要条件は「共通の目的」です。
小学校の登校も「みんなで安全に登校する」というような「共通の目的」を持ってはじめて「チーム」になります。
「みんなで安全に登校する」という目的があるからこそ、上級生と下級生が混ざった班を作ろう、時間通りに集合しよう、上級生は下級生に気を配ろうといったチームプレイが生じ得るのです。
本書の中では、単に2人以上の人間が集まって活動するだけの集団を「グループ」、共通の目的を持つ2人以上のメンバーがいる集団を「チーム」と定義しています。
なので、一般的に「チーム」として考えられている「企業の部署」や「プロジェクトチーム」だけでなくても、「共通の目的」と「2人以上のメンバー」が揃えば、それはもう「チーム」であるのだとか。
ということは、チームとして最初にやるべきことは、共通の目的のすり合わせであり、目標の設定であるということが理解できますよね。
このように、チームを構成する要素を分解していって、経済学、心理学、社会学などなど、様々な分野の学術的知見の助けを借りながら、理論的かつ体系的にまとめたものが本書で紹介されている5つの法則なんです。
偉大なチームを作るための5つの法則
チームづくりには特別な能力や経験は必要ありません。ただし、そこには確固たる法則が必要です。
また、「チームの法則」はリーダーのための法則ではありません。チームに関わるすべてのメンバーが理解し、実践すべき法則です。
本書の中で麻野さんは、偉大なチームを作るためには5つの法則があると説明しています。
- Aimの法則(目標設定の法則)
- Boardingの法則(人員選定の法則)
- Communicationの法則(意思疎通の法則)
- Decisionの法則(意思決定の法則)
- Engagementの法則(共感創造の法則)
目標を設定し、チームのメンバーを選び、チーム内のコミュニケーション方法と意思決定のルールを決め、モチベーションを高める。
この法則の中には、チーム運営に必要不可欠と思われることが盛り込まれていますが、確かにこれまでの人生を振り返ると、学校や会社で、これらのことを体系的に学んだことはなかったように思います。
ただし、組織のマネージメントという観点から言えば、優秀なマネージャーならば、これらのことは意識している方も多いのではないでしょうか。
結局そうなると「偉大な組織には偉大なリーダーが必要だ」ということになってしまいますので、本書ではこれをリーダーだけが理解するものではなく「チームのメンバー全員が、理解して実践するもの」であると説明しています。
チームが崩壊する落とし穴
しかし、時にチームをつくったことによって、1人だったら100のパフォーマンスを出せるメンバーが、100より少ない80や60のパフォーマンスしか出せなくなることがあります。
これをチームの「割り算」のパフォーマンスと呼びます。
1人では目的を果たせない、もしくは誰かと一緒に取り組んだ方が、実現しやすくなるからチームを作ります。
しかし、だからといってチームが必ずしもプラスの方向に行くとは限りません。なぜなら、人は楽をする生き物だからです。
本書の中では、そういったチームの落とし穴についても紹介されています。
- 自分1人くらいという「社会的手抜き」の落とし穴。
- あの人が言っているからという「社会的権威」の落とし穴。
- みんなが言っているからという「同調バイアス」の落とし穴。
- あの人よりやっているからという「参照点バイアス」の落とし穴。
自分1人だと、やらなければしょうがないと、実行することも、複数いるとやらなくなるというのはよくある話だと思いますが、本書の中では心理学をもとに「社会的手抜き」と表現されています。
また、詳しい内容は本書を読んでいただくか、本書を要約している動画をご覧いただくとして、「社会的権威の落とし穴」や、「同調バイアスの落とし穴」、「参照点バイアスの落とし穴」など、どのポイントも、思わずあるあると言わざる落とし穴が紹介されており、その解決策と5つの法則を合わせて実践することで、チームとしてのパフォーマンスは、さらに高まるのだそうです。
まとめ
1番目の項目で紹介している「チーム」と「グループ」の違いについて考えたこともなかったので、「違いは何?」と聞かれた場合、うまく説明する自信がありませんでしたが、「共通の目的」の有無という答えには、まさに眼からウロコ。
ということは、今まで「チーム」だと認識していたけれど、実はただの「グループ」でしかなかったのか!と思い当たる集団がチラホラ頭をよぎりました。
実際、うまく回っていない組織というのは、この「共通の目的」が曖昧だったり、メンバーに認知されていないということが往々にしてあるので、このことを知れただけでも、本書を読む価値はあったと思いました。
また、本書の中では常に、法則の中に「コレ」が正解というものはないと言っています。
というのも、チームの環境やメンバーによって何が正解か変わるのは当然のことであり、それぞれの状況に合わせて当てはめる必要があるからです。
ということは、それをうまく先導するリーダーの存在は不可欠なのではないか?と思ったりもしましたが、そこはメンバー同士ですり合わせながら実施していけばいいということなのでしょう。
なお、当記事では割愛しましたが、本書の中には、今回紹介した5つの法則についての具体的な事例や、アクションチェックリスト、学術的背景の他に、チームがハマるという落とし穴の対応策や、著者の浅野さんが自ら経験した5つの法則を活用したエピソードが書かれていますので、気になる方はぜひ手に取って読んでみてください。
チームの編成や運営をロジカルに行うために必須の良書でした!
さて、あなたが所属している集団は、「チーム」ですか?それとも「グループ」ですか?
それではまた、see you!
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