仕事をする上で、あなたのモチベーションとなっているものはなんでしょうか?
お金ですか?
それとも出世ですか?
いやいや、そんなものよりも、仕事に対するやりがいや、一緒に働く仲間だ!
なんて人もいるかもしれません。
実際、今の20代~30代の人たちは、お金よりももっと大事なものがある!っていう世代ではないでしょうか?
本書は、世代間の価値観の違いにスポットを当てて、上の世代から理解されない若い世代のモチベーションの源の正体に迫っています。
モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書 (NewsPicks Book)
『モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体新書』
まず、本書の結論は『若い世代こそAIで仕事がなくなっていく時代において希望の星である』ということ。
その理由は、欲望に対して、求めているものが変わってきているからだと言います。
上の世代は、「達成」と「快楽」を追求する人が多い世代でした。(中略)
一方で、「乾けない世代」は、「良好な人間関係」や「意味合い」を重視する人が非常に多いのが特徴です。
ちなみに、本書の中では、団塊世代以上の上の世代は、欲望への飢餓感と上昇志向と共に成り上がりってきたところから「乾いた世代」と呼び、若い世代は、生まれた時からすでになんでも揃っていて、物や地位を欲するようなところがないので「乾けない世代」と呼んでいます。
「乾けない世代」の求めるものは「意味合い」「良好な人間関係」「没頭」
話を戻しましょう。
アメリカ人心理学者のマーティン・セリグマンが唱えたように、人間の欲望は、「達成」「快楽」「意味合い」「良好な人間関係」「没頭」の5つからなります。
しかし、世代間によって、この5つの欲望のうち、求めるものが変わってきていると尾原さんは言っています。
団塊世代以前は前の2つ、「達成」「快楽」を強く欲しました。
汗水たらして頑張って、高い目標を達成する。そのご褒美として、美味しい料理を食べ、ワインを飲み、綺麗な女性と一夜を共にするなど、「身体的・心理的・社会的な快楽」を味わうことが幸福のカタチでした。
しかし、「乾けない世代」は、うしろの3つ、「意味合い」「良好な人間関係」「没頭」を重視します。
何か大きな目標を達成するために「身体的・心理的・社会的な快楽」を味わうことのためだけに一心不乱に頑張ることはできないのです。
実際、私は団塊ジュニア世代なのですが、団塊世代の影響を受けていたせいか、10代とか20代の頃は、がむしゃらに働いて、美味しいものを食べたり、ブランド品を身につけたり、高級車の乗ることが一種のステータスだと思っていましたし、それに憧れてきました。
しかし、会社の20代の子たちを見ると、高いブランド品を持つことに全然興味がなかったり、高級車どころか、車なんてカーシェアリングで十分という考えだったりするので、時代は変わったんだなぁ…と思うところはあります。
そんな価値観の違いの原因についても、本書の中では語られています。
埋めるべき空白がないから欲望がシフトしてきた
上の世代がある程度快適な社会の枠組みを作り上げてしまったので、「乾けない世代」は「すでに作り上げた社会」に立たされているからです。
「大きな枠」はもはや変えようがないから、「小さくて身近な枠」を大切に生きていく。
足りないものがあるからそれを埋めようと頑張る。
不便だから、便利な世の中にしたくて頑張る。
本書でいう「乾いた世代」は、世の中や自分の生活に足りないものがたくさんあったので、それを埋めるためにがむしゃらに働きました。
そのご褒美が、それまでには体験できなかった贅沢だったのかもしれません。
しかし、外食が当たり前、自分の部屋があって当たり前、なんでも揃った状態で生活をしてきたら、確かに埋めるべき欲望はないのかもしれません。
そう言った意味では、「乾けない世代」の欲望が、「意味合い」「良好な人間関係」「没頭」といったものにシフトしていったのも納得がいきます。
自分の好きを突き詰め、やりがいや信頼できる仲間を大切にする方が生き残る世の中になる
ここで認識しておかなければならないことがあります。それは、「乾けない世代」は決められた目標に対してただ邁進してきた上の世代とは、戦う理由が違うということです。
そして、まさに「これをやれば成功する」という黄金律がない時代だからこそ、自分だけしかできないことを突き詰め、楽しみをお金に変えていくことができる「乾けない世代」は強いのです。
今までは、埋めるべき空白が世の中にたくさんあり、それを埋めることで仕事が成立してきました。
しかし今はなんでも揃い、世の中の空白を見つけるのが難しい時代です。
会社から、目標ややるべきことを設定されて、それをガムシャラにやるだけで、やりがいやモチベーションを得ることができた時代は終わりました。
時代が変わるということは、働き方が変わるということでもあります。
そんな時代だからこそ、自分の好きを突き詰め、やりがいや信頼できる仲間を大切にする「乾けない世代」の方が、活躍できるのかもしれません。
まとめ
本書を読む前の勝手な想像では、モチベーションを上げるためのテクニック的なものが書かれている本なのかと思って軽い気持ちで読み出しましたが、むしろもっと深いところを掘り下げた本だったので、思わぬ良書と出会えた気分でした。
確かに、35歳位を境に、モチベーションの源が違っているなぁとは感じていましたが、満たされずに育った世代と、満たされて育った世代とという括りは、なるほどと腹落ちした部分でもありました。
ただし、個人的感想としては、最近は若い世代だけでなく、「乾いた世代」の中にも、モチベーションの源が変わっている人たちはいると思っています。
というのも、順調に仕事が認められて、常に「達成感」や「快楽」を得られ続けている人は別ですが、出世街道から外れてしまった人や、仕事の成果を認められていない人たちは、「達成感」や「快楽」が得られないことに見切りをつけて、「意味合い」や「良好な人間関係」「没頭」などにモチベーションがシフトしてきているように感じます。
なぜなら、これから人生100年の時代、今までと同じモチベーションの源では、いつか行き詰まってしまうから。
今は、「達成感」や「快楽」がモチベーションとなっている人たちも、いずれそれが満たされなくなり、モチベーションが保てなくなっていくでしょう。
その時に行き着くのが、「乾けない世代」と同じ「意味合い」や「良好な人間関係」「没頭」だと思います。
むしろ、先にそこにたどり着けることができれば、これからの時代にも幸せに生きていくことができるのではないでしょうか。
本書では、後半の方で、「乾けない世代」を組み合わせて組織として成果を上げるマネジメントの観点や、個人としていかに生きていくかといったライフスタイルについてまで紹介されていますので、興味を持たれた方はぜひ手に取って読んでみてください。
人生100年の時代における、働き方、モチベーションの保ち方を知る上で、オススメの一冊でした。
それではまた、see you!
コメント
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