今でこそ、「BABYMETAL」であったり、「ももいろクローバーZ」を好きで応援していますが、それらのアイドルを見るようになったきっかけは、国民的アイドルグループのAKB48がきっかけでした。
このAKB48には、「会いに行けるアイドル」の先駆けとしての代名詞といえる「握手会」がありますが、長時間の過酷な握手会をはじめとする労働環境は、世にいう「ブラック企業」と同じなのでしょうか。
AKB48とブラック企業の共通点
接客サービスとクレーム
特に日本においては、消費者が過剰なサービスを要求し、労働者を苦しめることが珍しくない。消費者の大多数は、局面が変われば労働者である。過剰な労働に対して歯止めのない日本では、労働者が働きすぎることの裏返しとして、消費者の方も働かせすぎることに抵抗感を持ちにくいのだ。
日本が世界に誇れるもの、それはサービス業などの従業員の接客サービスの良さであると言えます。
海外では労働に対する対価以上の働きはしません。海外で日本のような気配りの行き届いたサービスを提供するのは、セレブが行くような高級店だったり、当たり前のようにチップが発生するレストランなどのお店だけです。
なので、コンビニの店員やバスやタクシーなどの運転手が愛想が良いことはほとんどありません。(タクシーの運転手の場合、愛想がいいときはたいていボラれると思って警戒したほうがいいでしょう。)
そういった日本の誇るべきサービスの良さは、いつしか当たり前になってしまい、むしろサービスを過剰に要求する消費者を生み出してしまったとも言えます。
サービスが良くて当たり前。消費者の要求するサービスが提供できなければ、激しく叩かれます。にもかかわらず、そのサービスに対して対価は一切払われません。そして、提供する商品の価格も安ければ安い方がよい。そういった負のスパイラルの現状が、労働者に通常業務以上の過剰な労働を要求し、企業をブラック化へと導いていく状況を作り出しているのです。
労働者は仕事から離れれば消費者になります。過剰な労働環境で働く人は、人にもそれを要求してしまうので、結局そこから抜け出すことができないのです。
過労という名の「傷」
AKB48にも過剰なサービスの要求により過酷な労働を強いられているという面があります。本書に挙げられた西武ドームのコンサートの裏側がドキュメンタリー映画で公開されていましたが、それこそ地獄のような状況でした。
二〇一一年の夏に開催された西武ドームのコンサートの映像だ。三日間の日程の一日目が終わり、メンバー全員が反省のために集められたところで、セットリストがあまり面白くなく、多忙ななかで練習が十分にできていなかったこともあり、パフォーマンスがよくなかったという総括がなされる。
そこで秋元康は次のように述べる。「僕が知る限りたぶん最悪のコンサートだったと思います。」そして、「メンバーだけ、メンバーの責任ではないと思います。」と断ったうえで、「君たちがもっと真剣に考えないとダメだと思います。」と畳みかける。
AKB48のリーダー的存在である高橋みなみは、「死ぬ気でやりましょう」とげきを飛ばした。
その二日目が凄惨な結果を生む。ただでさえ四〇度近くになるという悪循環のバックステージで、熱中症、脱水症状、過呼吸により、メンバーが次々と倒れていく。
また、それ以外にも代名詞ともいうべき長時間立ちっぱなしで対応する「握手会」など。ファンが次々と要求すればするほど、それに答える彼女たちに過酷な労働を強いていくのです。
過酷な労働を要求されるAKB48は、ブラック企業なのか!?
ブラック企業と思うかどうかは本人次第
では、実際に過酷な労働を要求されている彼女たちは、AKB48をブラック企業ではないか?という気持ちを持っているのでしょうか。
AKB48はアイドルです。彼女たちは誰かに強制的にアイドルにさせられたわけではありません。自らがアイドルを夢見て、自らが望んでオーディションを受け、そして希望通りにアイドルになったのです。
大きな夢や明確な目的があると、人は過酷な状況にいてもそれを受け入れ、努力することができます。
例えば、ブラック企業大賞に毎年ノミネートされる居酒屋チェーン ワタミでも、働いている人の中にはブラック企業ではないという意見もあります。
35歳店長が反論「ワタミはブラックじゃない」 ~日刊SPA!~
過酷な労働も、チームとしての結束でそれを乗り越えることができる。将来の自分のために必ず役に立つ。という思いは、AKB48のメンバーの気持ちに通じるものがあるのではないでしょうか。
過酷な労働に耐えられない人や、企業の外から見ている人にとってみれば「ブラック企業」と呼ばれる会社でも、納得して働いてい人たちにとっては、決して「ブラック企業」ではないといえるのではないでしょうか。
「ステップ」とするか、「使い捨て」となるか
AKB48は「傷つきながら、夢を見る」物語ではあっても、「傷つきながら、夢を叶える」物語ではない。本当に夢を叶えるためには、そうした機会やスキルを与えることが重要なのではないか。握手会のコミュニケーション能力も、AKB48内での人気のブースターとはなるが、それが具体的に次のキャリアに結びつくかどうかは微妙だ。確かに、ある程度は固定ファンを獲得できるだろう。それはセカンドキャリアにおいて役に立つ可能性はある。だが、AKB48内の人気競争で勝ち抜く能力はある。だが、AKB48内で得られるものは、AKB48内の人気競争で勝ち抜く能力であっても、外部で必ずしも通用するものではない。
企業においてのスキルも同じようなものです。会社独自のシステムを使ってるところほど、そこで得たスキルは他社では使えませんし、独立することもできません。
しかし、スキルをそのままにするのではなく、得たスキルを応用することができれば、他でも使えるスキルに育てることができます。他所で使えないスキルのままにしてしまうか、他所でも使えるスキルに育てられるかは、本人次第であると言えるのです。
「渡邉美樹は嫌い」でも、ワタミ労働で「得られたもの」もある【ブラック企業のいいところ(3)】 ~BLOGOS~
AKB48には、夢を追いかけて努力し、運良く運営から推されて売り出される子もいれば、夢見た現実とは違い夢破れて辞めていく子もいるでしょう。中には思ってたものと違ったと絶望して辞める子もいたかもしれません。
でも、それって会社で働く人たちも同じだと思いませんか?
まとめ
夢を持って入社した会社で、思っていたものと現実のギャップに戸惑い辞めてしまう人。努力しても認められず、くさってしまう人。それでも夢や目的を明確に持って前向きに仕事に取り組める人。様々な人がいます。
今回の話は、決してブラック企業のことを肯定しているわけではありません。労働者を安い賃金で使い捨てのようにする会社はむしろ無くなってしまえばいいとさえ思っています。
しかし、ちょっと働くのに辛い環境であるとすぐに「ブラック企業だ」と騒ぎ立てるのもどうかと思っているだけです。
頑張れなかったら辞めれば良いのです。辞めさせてもらえなければ、逃げちゃえば良いのです。不平不満を言うのであれば、言わなくてすむ場所にいけば良いのです。
でもそれだけでは何も生まれません。不平不満を言わなくてすむ場所に行くにはやはり努力が必要だからです。
それならば、まずは自分が今いる場所でできることをやり、そしてできるレベルのもう少しの努力をしてみましょう。
与えられた場所で自分が何ができるかを考えながら努力できれば、きっとその努力は必ず報われるものになるのです。
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